最高裁判所第三小法廷 昭和30(オ)812 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人林昌司の上告理由第一点について。
原審がその認定の資料とした各証拠によれば、本件売買契約がなされたとの事実
の認定を肯認できる。所論乙第二号証も右の認定を排斥するものと認めなければな
らないものではない。論旨は結局原審における証拠の採否事実の認定を非難するに
帰し採用できない。
なお論旨末段は所論鑑定の結果を援用して原判決は一般取引上の通念に反すると
主張する。なるほど本件のような建物を判示価格で売却するということは異例のこ
とに属するであろう。しかし原審認定のような特段の事情、すなわち上告人はD相
互銀行からその債務担保のため本件建物に設定した抵当権の実行手続をとられ、こ
れにつき仙台地方裁判所の競売開始決定があり、上告人が奔走してもその効がなく、
競売されては甚しく廉価に売却されることをおそれていたし、他方Eも右銀行に対
する債務について連帯保証をしており、右債務の結果如何により累が自己に及ぶば
かりでなく請負残代金の支払も受けられない立場に至ることをおそれていたという
ような事情を考え合わせてみると、本件建物を原判示の価格で売買したものと認定
することが経験則に反するとも認められない。
同第二点について。
論旨は、原判決には民法一条に違反した違法あり、というが、結局原審の認定に
沿わない事実を前提とする主張に外ならないから採用できない。
同第三点について。
論旨は、原判決に憲法二九条違背ありと主張するが、その実質は原審における証
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拠の採否、事実の認定を非難するに帰し採るを得ない。
よつて、民訴三九六条、三八四条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、
主文のとおり判決する。
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 河 村 又 介
裁判官 島 保
裁判官 小 林 俊 三
裁判官 垂 水 克 己
裁判官 高 橋 潔
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